THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

ある日のガンショップ

 東京の、普段はあまりいかないあたりにガンショップがあるという。


 そのときおれは、どうしてもサバイバルゲームがやってみたくて、同僚と一緒にはるばるどこぞの駅まで行ってみた。


 ついた駅は完全なる住宅街。

 すごく立派なアーケードと商店街があって、「こんなところにサバゲーオタクが行く店があるのか?」と疑問に思った。


 スマホなんてない時代だから、地図を頼りにふらふら歩いていくと、はたして住宅街にこつ然と現れたガンショップ。


 「ここかあ」


 と思ってドアを開けると、入り口にはいきなりM249、通称ミニミ。


 これはタダゴトじゃない、と思って奥に進むと、眼光の鋭いオババが、「冷やかしはごめんだよ」と漫画みたいな台詞を言った。


 「いや、サバゲーやってみたくて・・・」


 しどろもどろ答えると、オババは満面の営業用スマイルを浮かべて「そうかい」と答えた。


 まるで天空の城ラピュタに出てくる空賊ドーラみたい(CV: 初井言榮)。


 「おめあてはあるのかい?」


 ぼくは素人だったから、雑誌で見た適当な知識で言った。


 「M93Rとか・・・」


 「ベレッタがお好みかい? いい銃だよ。フルオートで撃てるしね。その割には集弾率も悪くない」


 オババはカウンターの下から黒光りするM93Rを出してきて、僕に渡した。


 「こいつはヘビーウェイトだ。実銃と同じ重さだよ」


 金属のひんやりし完食と、ズシッという重みが手にかかる。

 プラスチックの安物しか見たことがなかったぼくには衝撃的だった。


 「気に入ったかい? そいつはハードキックに改造してあるからね。リコイルショックに味があるんだよ」


 ぼくは手の中の黒い鉄塊をしげしげと見つめた。


 「ただ、あんた、"ゲーム"をやるんだろ。93Rはいい銃だが、"ゲーム"となるとそれだけじゃあ心もとないね。主力はSMGだよ」


 「SMG?」


 オババは聞こえるか聞こえないかくらいの声で呆れたね、と呟いた。


 「あんた、SMGも知らずにゲームをやるつもりかい? サブマシンガンだよ。普通ゲームのメインウェポンはAKやMP5みたいなSMGなのさ」


 「よく知らないんですけど、どれがいいんですか」


 「初心者ならヘッケラー&コック社のMP5シリーズだね。このA5はストックが伸縮式だから、屋内のクロースクォーターバトルにも対応できるよ」


 オババは大きめの銃を渡してよこした。

 たしかに銃床の部分が伸び縮みするようになっている。


 「世界の特殊部隊はたいていこいつさ。・・・ってあんた、そういう構えじゃいけないよ」


 「えっ」


 オババは銃をとりあげ、さっと構えてみせた。さまになってる。


 「ストックはこう。腕の付け根に当てるんだよ。ここから照星を除いて敵を狙うんだからね」


 「じゃあそれと93Rを貰おうかな・・・」


 「あんた、どうせホルスターも持ってないんだろ。それにMP5にもスリングがいるじゃないか」


 それでホルスターと、スリングと、ガス缶とマスクを見積もってくれた。


 「いい買いっぷりだねえ。また来なよ」


 あれから10年以上経った。

 今はもうサバゲーとか、年に一度するかしないかだけど。



 あのオババは強烈だった。

 まだ元気でやってんのかな。