THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

鉄道漫画読み比べ

 今年は忙しすぎて駅弁大会にあんまり参加できなかったので、鉄道漫画を読んでいた。

 そしたら鉄道漫画というジャンルそのものにハマってしまいあれこれ読み比べたので感想だけ書いておく



 最初に読んだのはコレ。駅弁ひとり旅。でもぜんぜん一人にならない。旅先でいろんな女の子と出会う。なんでかっていうと、駅弁はひとつの駅にたくさんあり、ひとりで全部食うのは不可能に近い。だからどうしても誰かと食わないと駅弁の魅力を紹介しきれない。という話だろう。


 

 駅弁好きが高じて弁当屋を開業してしまった主人公が、奥さんから全国の駅弁を食べて来いと送り出される。もうこのシチュエーションが泣ける。まさに理想の嫁。愛。愛だ。


 主人公はいろんな女の子と出会うがあまり深い関係にはならず淡々と駅弁を食いながら移動する。

 駅弁の描写はなかなか良い。とにかく何を食っても「ここがいい」という話ばかりでてきて「これがダメ」という話がでてこない。まあ各駅や駅弁屋の取材協力があるからだろうけど、こういう話は駅弁に対してとてもポジティブな気分になれる。


 また、世の中には予約しないと買えない駅弁というのがけっこうあることがわかって非常に勉強になった。


 震災後の東北地方に駅弁を食いに行く「がんばっぺ東北編」は、「なんだこのタイトル、どこの方言だよ東北舐めてんのか」と思ったが中身はすげーいい話。



 リアス亭のばあちゃんの話に思わず泣いた。



 これが面白かったので、元祖鉄道ヲタク漫画といえば、ということで鉄子の旅を読んだ。


鉄子の旅(1) (IKKI COMIX)

鉄子の旅(1) (IKKI COMIX)


 就職もせずバイトで食いつなぎながら日本国内全駅上下車という前人未到の偉業(異業?)を達成した横見さんという実在の人物と一緒に、鉄道に興味のない女性漫画家がくっついていって過酷すぎる鉄道旅行を描く。


 これがなんていうか、もうとにかく漫画家の鉄道への興味の無さが半端なく、もっといえばクリエイターとしての感受性もなく、ひたすら鉄道というよりも横見さんへの総ツッコミが繰り広げられる漫画で、もしかしてガチの乗り鉄なら面白いのかもしれないが、鉄道そのものに明るくない(鉄道模型はやっていたがその列車がどこを走っていたとかはほとんど知らなかった)自分は、「いいからちゃんと説明してくれよ」と心でツッコミを入れながら読んでいた。


 「駅弁ひとり旅」が紀行ものとしてよくできているのに対し、鉄子はとにかく作者の説明不足が半端ない。どうしてこの差が生まれるのか、エンタメをやってる人は両方読み比べるといいんじゃないかと思う。


 「駅弁ひとり旅」を読んだあとだから物足りなく感じるだけなのかもしれないが、「もっと面白く書けるんじゃないかなあ」とずっと疑問をいだきながら最後まで読んでしまった。


 ギャグ漫画としては面白い。


 ちょっと変化球で、ミスキャンパス出身の女子アナがケーブル専門局に就職して、全く興味のない鉄道番組を作り続けるという漫画。


 他の鉄道漫画と違い、主人公が色っぽいので感情移入はできないが、それなりに人気が出そうな設定ではある。


 なぜか鉄道関係の有名人が次々と女性化して登場するという謎仕様。これはいらなかったんじゃないか(女しか描きたくなかったのかな)


 しかしいい感じにノッてきたところでなぜか唐突に終わる。作者急病とかかと思ったらそうでもないらしい。もっと読みたかった。


 「おい、これからだろ!」という時に唐突に終わってしまうので打ち切りにしてもひどすぎる。でもドラマ化されたらしい(まあテレビ局では扱いやすい題材だろうよ)。


新・鉄子の旅 1 (IKKI COMIX)

新・鉄子の旅 1 (IKKI COMIX)


 おそらく初代「鉄子の旅」の菊池さんが「もう(体力的・精神的に)無理」と連載を投げ出してしまったが、編集部としては鉄ヲタ漫画というジャンルを切り開いたので続けたい、という意向があって、持ち込みにやってきた専門学校生を起用してリブートさせた鉄子の旅。たぶん体力ないと無理だと悟ったんだろうなあ。


 本人の度に望む姿勢、旅を楽しむ態度は初代よりはだいぶいいが、初代の方が絵は良かった。

 今回から鉄ヲタ女優、村井美樹が毎回ロケに同行することになったのだが、横見さんの相変わらず空気を読まない強行軍にブチ切れることもしばしば(それはそれで面白い)。


 初代と異なり、普通に旅漫画として成立している点は凄い。あんまりな勢いで読み進めると読み終わってしまいそうなのが怖いのでいまは読むスピードを落としてる。


 ちなみにまだ読んでないが鉄子は三代目まであるので、おそらくこの専門学校生がどこかでギブアップして世代交代するんだろうと思われる。



 Amazonの評価を見てみると、鉄道マニア(鉄子の旅ファン?)の間では初代「鉄子」が最も評価が高く、二代目「鉄子」は評価が低い。たぶん鉄道漫画に何を求めているかの違いなんだろう。


 そもそも鉄道に興味のない女子(しかも漫画家としてもデビュー前)を仕事を餌に無理やり鉄道に乗せ、ガチヲタと日本中を旅させるという企画そのものに無理がある。電波少年じゃないんだから。


 しかも横見さんの鉄道の乗り方は正直全く共感できない。まあ共感するひとも大勢いるのだからファンも多いのだと思うけど、あの乗り方が楽しいとはどうしても思えない。思えないけれども、「週末時間あいたから久留里線全駅上下車してみようかな」とか、「一都二県大回りしようかな」とか思うくらいには影響されてる(やってみたいんじゃん)。


 でも横見さんが「デートコースだ!」「レールクイーンだ!」と言ってる割にはぜんぜん楽しそうじゃないんだよな。旅の行程が。いやでも俺もそういう意味では毎年車で1000キロくらい移動したりしてるから似たようなものなのか。


 ある意味で横見さんのストイックさについていけてないのか。駅弁ひとり旅の場合、ストイックの真逆だもんな。駅弁食いたい、あの電車乗りたいという欲望が起点なのに対し、横見さんはひたすらマニアック街道を爆走している。もはや目的がなんなのかすらよくわからない。そこが凄いとも思うのだが。


 好きなことで生きていく、ということができるとしたら、それを体現しているのはまさしくこういう人だろうなあ