THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

山本弘が面白すぎて生きているのが辛い

 先日紹介したっけ?忘れちゃったな。

 ディープラーニングラボで出張した時、来場者の方から教えてもらって読んだ山本弘の「神は沈黙せず」がめちゃくちゃおもしろくてハマってしまった。



 この小説は、2003年に書かれているのだが、テーマは神とオカルト現象と人工生命。

 この頃は遺伝的アルゴリズムに期待が寄せられていたので、遺伝的アルゴリズム主体の話しだが、そんなに難しい話しはでてこない。


 この小説の面白いところは、主人公はクリスチャンの兄妹で、彼らの両親が不慮の事故によって亡くなって、神を信仰できなくなったところから始まるところだ。


 神とはなにか、宗教とはなにか、というテーマだと重い感じがするが、実際にはぜんぜん違う。そして超常現象はなぜおきるのか、ということがこの物語の根幹に流れていて、まあとにかくめちゃくちゃ面白い。


 そしてこの物語で描写されている世界が、まさに人工生命とか遺伝的アルゴリズムだとか、ミームだとかに深く関わり、そして今日のディープラーニング的な世界観の出現を予言させるおもしろさがある。


 これがあまりに面白いので、読み終わった後も震えが止まらず、他に何か読もうと思って手に取ったのが「MM9 -Invasion -」


MM9─invasion─

MM9─invasion─


 この小説の存在は知識としては知っていた。なんせ僕も仕事で関わった、樋口真嗣監督の深夜ドラマ「MM9」の原作の続きだからだ。


 ただ、「MM9」のほうはどちらかというとパトレイバーの第二小隊が気特対(きとくたい)になった感じで、なんていうか、オムニバスっぽい小説だった。


 MM9の世界観は、台風がない世界。台風のかわりに怪獣がやってくる。

 そこで、怪獣の出現の察知や進路の予報、怪獣の命名などを担当する部署が気象庁にあり、これが特異生物対策部、通称、気特対になる。いうまでもなく、シン・ゴジラの巨大不明生物対策本部(巨災対)の元ネタである。


 シン・ゴジラの中でも巨災対の出現は唐突である。なぜか霞が関のはぐれものや厄介者、学会の異端児ばかりが集められ、国の命運がかかった作戦を立案、実行する。なぜ選び抜かれたエリートによるチームではなく、厄介者ばかり集められたのか。なんのために霞ヶ関にはエリートが大勢いるのか、そこらへんがあまり明確にされていない。いちおう、矢口が泉に人選を頼む際「骨太を頼む」と依頼し、泉は「首を斜めに振らない連中を集めるよ」と請け負っているのだが、集められた挙句、いきなりはぐれもの扱いされて誰も腹を立てないのはどういうことなんだ。もちろんその方がドラマは盛り上がるからいいんだけどね。


 気特対はどちらかというといたってまともな公務員の集まりのように見える。

 最初のMM9の場合、どちらかというと怪獣あるあるネタ満載のギャグ小説っぽい雰囲気の中に、山本弘らしい視点で怪獣が存在できる理由が説明されていたりするのが面白い感じではあった。


 しかし、本作「Invasion」では展開が激変する。

 なんと怪獣小説なのに純愛ラブストーリーになってしまう。

 ラストシーンでは思わず涙がこぼれた。


MM9―destruction― (創元SF文庫)

MM9―destruction― (創元SF文庫)


 さらに続く「Destruction」は、Invasionの直後のストーリーであり、ラブストーリーの形式を継続しながらも、神話の成り立ちと怪獣の関係などが明かされていく。途中、うんちくが長すぎて読むのが辛い部分もあるが、そのぶんあとで解決される謎の伏線としては十分機能していて、ラストはやはり泣いてしまう。涙もろくなったな。


 そんな感じで一気に読んでしまったのだが、面白い小説は読み終わってしまうと強烈に空虚な気持ちになってしまう。


 ああ、あの楽しくも美しい怪獣たちにはもう会えないのか。ここまで描いちゃったら無理だよな。

 映像ではなかなか表現できない、小説だからこそ表現できる怪獣バトルというのが、あるんだなあ、すごいなあ、山本弘


 しかし読み終わってしまった。つらい。つらすぎる・・・・。

 こんな気分になったのは久しぶりだ。

 

 次はトワイライトテールズでも読むかな・・・