THE長文日記

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四次元て何?が体感的に理解できる良アプリ

 なんで見つけちゃったかわかんないんだけど、ふと、「四次元」というアプリを見つけて買ってしまった。

 

 これは我々のような哀れな三次元世界の十人が四次元以上の高次空間とは何かを幾何学的に理解するためのインタラクティブ絵本である。

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4次元 - Drew Olbrich

 0次元から始まって、1次元、2次元、3次元という概念がひとつにつながっていることがよく分かる。

 さらに、三次元から四次元に拡張すると、一体どのようなことが起きるか。それを知ることができるのが本書(?)である。


 僕が四次元と出会ったのは忘れもしない中学時代。A・K・デュードニーの「コンピュータレクリエーション」シリーズの中だった。


 四次元超立方体(この本では正8胞体と表現されている)を実際に体験するために自分でプログラムを書いた。

 四次元超立方体を三次元空間に回転しつつ投影するだけの単純なプログラムだったが、恐るべき感動があった。


 高次空間への憧れと、感動。数学とはこんなことまでも可能にするのかという人間の持つ想像力の豊かさ。


 四次元超立方体が自分で作れるということは、それが五次元でも六次元でも平気ということである。


 この幾何学的な意味での四次元以上の高次元空間は、インターステラーに出てくるような子供だましの五次元とはまるで違う。


 そもそも今の物理学では現在我々が生きている時空は10次元以上の高次空間(超ひも理論では10次元、M理論では11次元)であると考えられている。


 だからインターステラーで「五次元人が・・・」という説明が出てきた時に「こいつは未来の物理学者なのに物理学の常識を知らんのか」と思ったのは秘密。


 ただし、物理学に出てくる高次空間は幾何学の高次空間とは厳密には意味が異なる。幾何学的な10次元空間と物理学が想定する10次元空間はまるで違う。


 そして悲しいかな、我々は三次元空間に時間を加えた四次元時空を持ってしか、とりあえず高次空間を把握するしかできないのである。


 さらにいえば、今のコンピュータディスプレイは二次元であるため、実際には高次空間の四次元射影の二次元射影像しか見ることが出来ない。まあ、空間ディスプレイを落合陽一くんが実用化してくれるか、当面はHMDを使えば擬似的にではあるが3次元射影を見ることができる。


 でも決定的に違うのは、たとえば三次元のものの二次元射影を見ると、三次元空間の実際の形状があたまに思い浮かぶが、四次元以上の高次幾何学空間の三次元射影像をいくら見てもピンと来ないということだ。


 これは我々が幾何学的な意味での四次元空間を体験したことがないから、全く想像が付かないということなのだろうと思う。


 最近のディープラーニングの研究で、Z値を含んだ三次元映像を学習させると、複数の三次元映像を合成した結果を得ることができるというものがある。

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 「あの椅子とこの椅子の中間の椅子」みたいなのが作れるわけだ。


https://i.gyazo.com/369fe11cf6ff19fddc227173a9810d11.png

http://arxiv.org/pdf/1411.5928v2.pdf


 我々は四次元以上の高次空間を体験することはできないが、人工知能にはできるだろう。

 なぜなら人工知能は、そもそも幻想を体験する仕組みになっているからだ。


 彼らにとってはむしろ我々が経験している三次元+時間という四次元時空の方が異質であり、幾何学的な高次空間はむしろ馴染み易いだろう。


 そもそも、機械学習の世界では、ニューラルネットワークの入力も出力もテンソルで表し、特に出力は階数1のテンソル、すなわちベクトルで表現されることが多い。


 このベクトルの次元は、分類したいクラスの数だけ存在するので、この世界では普通に1000次元とか6000次元とかという考え方が出てくる。たとえばこのブログは約6000次元の語彙で全ての記事を表現できることが過去の調査でわかっている。


 ただしそこまで次元が高いと把握するのが極めて難しくなるので、主成分分析などで二次元くらいまで次元圧縮するのが普通らしい。しかしたぶん三次元にも応用できるだろう。


 高次空間の存在というのは、知らなくても生きていくのは簡単だが、知っていて損することはない。

 というわけでこのアプリはお薦めです。


4次元 - Drew Olbrich