THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

寒い国から来たスパイ


 先日、コードネームU.N.C.L.E.を見た帰りに読書が趣味というYさんとゴールデン街で飲んだ。

 そのとき、「スパイものならル・カレでしょ」と煽られて、つい買ってしまった。


 なるほど面白い。

 

 ル・カレは、反ジェームズ・ボンド的な、すなわちアクションとお色気に彩られた世界に対するアンチテーゼとしてスパイ小説を書いた。


 そのあまりのリアリティに、ル・カレは英国秘密情報部員ではないかという噂が流れ、それが事実だと確かめられた。


 ジェームズ・ボンドシリーズの原作者であるイアン・フレミングもまた英国秘密情報部のスパイをやった経験があるが、ル・カレの方がリアリティに富むのは、スパイという仕事が、単に敵国に潜入し、破壊工作を行うのではなく、専ら謀略と偽装を行う点だろう。


 そして、イアン・フレミングジェームズ・ボンドに端を発するスパイ小説というジャンルはとかくエンターテインメント要素が強くなりすぎる。派手なアクション、爆発、美女、そんな感じだ。これは、ミッション・インポッシブルのような映像作品も同様だ。トム・クルーズが出てくるようになってからさらにその要素が強調された。


 娯楽映画の小道具として、スパイは扱いやすい。

 気軽に人も殺せるし、破壊工作もできる。


 娯楽映画の主人公に悪党やスパイがなりがちなのは、退屈に思える日常を破壊したいという人々の内なる願望なのだろうか。


007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)

007/ロシアから愛をこめて (創元推理文庫)


 それに比較すると、ル・カレは淡々と行われるミステリー小説に近い。

 

 裏切りが裏切りを、偽装が偽装を呼ぶミステリー。

 嘘が嘘を呼び、疑惑が疑惑を呼ぶ。


 うーむ。面白い。

 しみじみ、面白いと思った。


 他のも読んでみようと思う。


 コードネームU.N.C.L.E.も面白いよ


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