THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

iPad Proのペンとキーボードカバーを使ってみた

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 やっとカバーとペンが届いたよ。

 しかし値段のせいかでかさのせいか、僕の身の回りではApple Watchよりも売れてない印象。まあ在庫も少ないしね。実験製品なんだろう。


 ということで一通り触ってみた。


 まずわかったのは、アプリによってだいぶペンの性能が変わってしまうこと。

 Adobe Sketchとかibis paintは、遅い。たぶんベジェを使ってるからだろう。


 ベジェ補完は遅いことが原理的にわかっている。

 enchantMOONのときにさんざん試したからね。


 なんで遅いのかというと計算量ではなく原理の問題。

 

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 ベジェ補完は、上図のように与えられた四点に対して最初と最後を通るように調整された曲線で、曲率は2番目と3番目の「制御点」として与えられる。


 これはAdobe Illustratorみたいな、デザイン用ソフトでは制御点の管理が簡単なのでよく使われるようになった。もともとはフランスの自動車会社のデザイナー、シトロエンのド・カステリョ とルノーのピエール・ベジェが自動車をデザインするときに発明したもの。


 これをペンを使うときに補完してしまうと、文字や数式にとって大事な鋭角的な部分(ハネや記号など)が削ぎ落とされてしまうので文字や数式をメモするものには使えない。


 ベジェ曲線はそもそも最初の線を出すまでに4頂点が必要なので、それだけ表示が遅れるという問題もある。4フレームも遅れたら、見れば見るほど遅れてしまう。


 enchantMOONを作る必要があったのは、まさしくこのためで、ペンに適した新しい補間アルゴリズムを模索する必要があった。


 結論から言うと、Pixarの創業者であり、クーンズ賞受賞者の一人であるエド・キャットムルによるCutmull-Rom曲線というスプライン曲線を独自の理論で遅延を少なくするよう拡張したものを使っている。


 ペンの書き味を極限までシミュレートするには本来補完はしない方がいいが、実際には人間は頭のなかに「こういう線」というイメージを持ってペンを走らせているので、補完しないとおかしな感じになってしまう。しかしベジェ補完のように、途中経過を省略してしまうような曲線は論外で、スプライン曲線のように全ての頂点を通過するものでなくてはならない。


 しかし、全ての頂点を通過するようにすると今度は鋭角が再現できない。ベジェが都合がいいのは、4点セットだから、セットとセットのつなぎ目を鋭角的につなぐこともできるという点にある。ただしベジェでは完全な円は描画できないこともよく知られている。


 鋭角を実現しつつ完全な円を描画するには非一様有理Bスプライン曲線(NURBS)を使う必要があるが、NURBSも頂点がリアルタイムに増えていく状況では扱いにくい。


 したがって、たいていの場面ではCutmull-Rom曲線で保管しつつ、鋭角的な場合は独自の処理をしている。

 あと、東芝REGZAタブレットでもやっている、直線の予測表示を行うことで見た目上の遅れを挽回できる。

 

 ペンを使うという意味で完成度が高いと唸らされたのは、やはり標準のメモ帳のスケッチ機能と、Microsoftからスピンアウトしたチームが作ったPaperだ。しかし売り切りアプリでここまでしぶとく粘るとはスゴイ。


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 とはいえPaperでもこのくらい遅れてしまう(上のムービーはスローモーション)。


 ただ、Apple Pencilが素晴らしいのは、ソフトウェア技術というよりはむしろ材料工学で、Apple Pencilのペン先はiPad Proのガラス面と非常によくマッチしていて絶妙な抵抗感を出している。


 ホワイトボードにマーカーで書く感じに近い。

 

 従来、どれだけペンが発達しても、ツルツルした画面に滑るように書くことしかできなかったのが、Apple Pencilはひとつのブレークスルーを起こしたと言える。


 悔しいけど製造に制約の多かったenchantMOONではこれは実現できなかった。


 さて、キーボードだけど、やはりペコペコしている。

 ペコペコしているがしかし、決して打ちにくいということはない。


 新しいMacBookの、あの薄すぎるキーボードに慣れてしまう信者諸君ならぜんぜんアリだろう。

 僕はあの薄すぎるキーボードが嫌なので信者力が足りない。


 キーボードは商売道具なのでこだわりたいし、そういう意味ではiPad ProのキーボードはやはりMicrosoft Surfaceのタイプカバーと同程度に不便なのだが、キーボードだけ見ればMicrosoft Surfaceの勝ちである。


 で、結局どうなったかというと、僕は今のところMacBookAirとiPad Proを両方持ち歩いている。

 そしてiPad Proの出番が意外と少ないことに気づく。


 というのは、Webサイトを見ても周りから丸見えで恥ずかしいし、キーボードでメールを打ってもまわりから丸見えで個人情報ナニソレという感じだし、最大の問題は、マルチウィンドウが使えないことだ。


 人類が恐るべき犠牲を払ってまで手に入れたマルチウィンドウ。

 Microsoftでさえ、Windows8で一度マルチウィンドウを捨てようとして、「ゴメンチャイ」とWindows8.1ですぐさま戻ってきたマルチウィンドウ。


 このサイズなのにマルチウィンドウが使えないことの不便さよ。

 

 Split viewがある!と信者は言うかもしれない。

 だがそれではダメだというのは、Windows8の失敗が物語っているではないか。目を覚ませ!


 総合点としてはMicrosoft Surfaceの勝ちである。とりわけSurface3の勝ちと言えよう。

 僕はやってないが、Surface3にBluetoothでしっかりしたキーボードをつけるのがベストプラクティスかもしれない。


 しかしPencil、しかもその物理的特性だけは他の何者にも代えがたい。

 

 少なくとも会社でenchantMOONを使ってメモしているような場面ではiPad Pro+Apple Pencilのほうが活躍するかなあ、と思って、試そうとしてみた。



 ・・・でかくて机に置けん。

 キーボードの隣にenchantMOON、的な使い方が一番多いのだが、キーボードの隣にiPad Proとか、置けるワケがないのである。


 ・・・うーむどうしよう・・・


 これは困った。

 使い道がない。



 ただ、授業とかではわりと重宝している。やはりiPad ProのキラーアプリはMOONBlockDXなのだろうか。


 で、でも・・・Apple Pencilを使いたい!使いたいぞ俺は!!


 信者として!!


 Apple Pencilの存在は、むしろこれからの人類のペンコンピューティングへの未来を閉ざしているのではないだろうか。


 いや、きっと来年にはiPad AirでもApple Pencilが使えるように成るはずだ。そうに違いない。

 iPad miniでも使えるようになったら何の問題もないのだ。


 その日を待とう!

 それまでの我慢だ!

 修行だ!


 そういうわけで、明日はSCHOLARさんが企画したイベントやります。


 日本未発売のSurfaceBookも持っていく予定。

 あ、あとenchantMOONが抽選で一名様に当たります

 いま十人しかいないから1/10の確率でenchantMOONが当たる!おお

11/24(火) 清水亮「人類補完計画」で全人類がプログラミングできる社会を作る | Peatix

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