THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

コードの匂い。年の差、なんて


 昨日、二十歳の男の子に


 「清水さんっておいくつなんですか?」



 と聞かれたので


 「38だよ」


 と答えると


 「えーーー、意外に行ってますね」


 と言われた。

 どういう意味じゃい。


 僕は子どもの頃から年相応に見られたことがないのが悩みで、15歳の時は学生服を着ていたのにも関わらず、街頭で「すみません、25歳以上の会社員の方を対象にアンケートをとらせていただいているのですが・・・」と声を掛けられたり、本屋さんで高校生のお兄さん達がエッチな本を買おうとして親父に怒られている横で「700円になります」とデラペッビンを買ったり、まあそれは得したと言えるのだろうか。


 顔が老けてると、得することもある。

 若いと舐められることもあるからだ。


 しかしなあ、オレが二十歳の頃って38歳っていったら父親と区別つかない感じだったかもなー、うーん。


 その子と夏野さんと三人で会った。

 そういえば、夏野さんと初めて会った頃、僕は22歳、夏野さん35歳。

 

 今は僕と夏野さんが20歳の起業家を応援しようとしている。

 夏野さんと仕事の話をするのは、実に15年ぶりだ。

 今もアツく熱っぽく理想を語り、若者を応援する夏野さんの横顔をみて、相変わらずカッコいいなと思った。そう、夏野さんはカッコいいのだ。少なくとも僕から見たら。


 奇妙なものだなあ。

 

 二十歳の彼は、なんていうか。ちゃんとしてる。

 二十歳と聞いて意外だ、と僕が逆に思うくらい、ちゃんとしてる。


 僕が以前、「危ういな君、コードの匂いがしないぞ」といった少年はいまなにをやってるんだろう。

 あれから数年経って、もうとっくに卒業してるはずだけど、少なくとも僕の知っている世界では名前すら聞かない。


 彼はコードの匂いしかしない。

 

 というか作ってるプログラムはたぶん分量としては多くないんだけど、圧倒的に拘ってる。

 たぶん何度も作り直してる。


 短いコードで最高の結果を引き出すのがプログラマーだとしたら、彼は最高のプログラマーだと思う。


 そのうえで、ちゃんとしてる。

 なんというか、地に足がついてる。


 僕も夏野さんも、「こりゃ楽だ」と思ってる。

 半完成品のキットみたいなものだからだ。


 あと組み立てて、電池入れたら、動くじゃん。

 そんな感じ。


 二十歳なら、失敗なんか、なんどもできる。


 じゃあとっととやっちまおうぜ。


 失敗が人を作るのだから。



 もうひとつ、僕と夏野さんは、彼を育てよう、応援しようと思っているが、舐めてはいない。

 もう立派な大人だと思ってる。


 年の差なんて関係ない。

 僕が夏野さんに初めて会った時もそう。


 「清水くん、ここはセコいこと言ってないでどんと儲けてくれよ」


 ドワンゴの躍進はそこから始まった。

 僕のキャリアも。


 夏野さんは僕を応援しようと思いつつ、オトナとして扱ってくれた。

 だから今の僕がある。


 僕も自然に、まだ若い彼をオトナとして扱っている気がする。

 なんかそういうふうに感じるのだ。

 年の差はあるが、もはや仲間だ。

 彼の才能を僕たちは認めている。

 彼は僕や夏野さんに礼儀正しく接する。

 お互いがお互いを尊敬しながら、関係を作って行く。

 それが大人の世界だ。


 年の差なんて、関係ないんだよね。