THE長文日記

長文とか短文とかのクレームは一切受け付けません

芸能人でなくても歯は大事

 うっかりして、道ばたでつまづいてアスファルトに倒れ込むが、右手でとっさに受け身をとるも、少し酔っていて受け身に失敗し、前歯を二本折ってしまった。


 歯が折れるって凄いよね。

 まず心が折れるよ。



 歯が折れただけでなんかもうこの世の終わりって感じで、なにも食べたくならないし、水をのむのすら辛くなる。



 しかも実家に戻っていたのでそのへんの歯医者にいくわけにもいかず、しかたなく何も食べずに東京まで新幹線で戻ることに。


 歯が折れただけで何も食べたくなくなるというのは、要するにこれって医療技術が発達してなかったら、確実に餓死する方向性にいくわけですよ。歯ブラシもなかった時代ではみんな虫歯になって死んでいたというけれども、そりゃ寿命が短いわけだ。歯は大事。マジで。


 もうとにかく前歯がないというのが本当に辛い。


 落ち着かないし、下手すると呼吸するだけで神経に触って痛い。


 おなかはすくけど歯の神経が剥き出しになっているので何も食べられない。これはやばい。

 原始人だったら発狂してるだろう。


 人間てのは、ただ歩いてるだけで転んだりして、しかも歯が折れるほどの怪我をするわけだから人間、油断ができない。


 たぶんダーウィニズムにおいて、僕はとっくに産まれる前に死んでいたような人間だったかもしれない。


 それが科学技術の発達、とりわけ医療技術の発達によってどうにかこうにか生かされている。僕が科学技術に命を救われた例は挙げればきりがないが、とにかく科学技術がなければ僕は目も見えず、昼間自由に動き回ることもできず、つい一昨日くらいから飯を食うことができなくなり死んでいただろう。


 しかしほんとうに前歯がないというのは他の何者にも増して辛い。

 人間以前に動物として終わっているのである。


 東京にもどって日曜もやってる歯科医を探したら、予約でいっぱいで三時間待ちだという。

 しかしもうこのまま夜を越せないから、必死で待つことにする。


 果たして、あっという間に義歯が入れられ、歯磨きを指導され、痛み止めと抗生物質を処方されて、僕の治療はほぼ完了してしまった。


 新潟で歯を折ってから24時間もしないうちに歯が元に戻り、またご飯を食べれるようになった。


 医学は偉大だ。


 医学は人類のロジスティクスの屋台骨だ。

 どんな人間も人並みの社会生活を営めるようになって初めてその先の知的生産活動を行うことが出来る。


 つまり医学は最も重要な科学であり、医学的なヒューリスティックのおかげで数々の命が救われ、そしてその結果、人類は常に最先端へ一人でも多くの優秀な人材を送り込むことが出来る。


 その偉大さに改めて気付かされた。